Power Apps で開発したアプリは、社外の人と外部共有し、共同で利用することができます。
ただし、社内利用時と同じような自由度で利用してもらうのはハードルが高く、シンプルな利用に限ります。
外部共有における注意点を押さえておきましょう。
アプリを社外共有するための3つの条件
自社開発アプリを社外の人が使うためには、次の3つの条件すべてをクリアする必要があります。
1. Power Apps を利用できるライセンス契約をしていること
まず、アプリを開発するあなたと、そのアプリを利用したい社外の人お互いが Power Appsを利用できるライセンスを契約している必要があります。
昨今のライセンスを見る限り、Microsoftと契約のある企業であれば基本的に最初から利用可能になっていることがほとんどだと思います。
2024年6月現在、最新のライセンス一覧はこちらです。
相手先企業の人が Power Apps ライセンスを所有しているかどうか、先方のシステム担当者に確認してもらうか、またはPower Appsのサイトにアクセスできるかどうかを確認してもらえばいいですね。
お互いがライセンスを持っていなければいけないということは、不特定多数の人が利用することを想定したアプリ開発は不可能であることを意味します。
具体的には、ECサイトなどで顧客に必要情報を入力してもらうためのアプリとしてPower Appsは不向きということになります。
なぜなら、基本的に Power Appsはビジネス利用が前提となっていて、個人契約の Microsoft 365 Personal や Familyプランは Power Apps のライセンスを含んでいないからです。
それらの人が利用するためには、追加オプションで別途 Power Apps ライセンスを契約する必要があり、よほど興味関心のある人でない限り、個人でこれらを契約する人は少ないと考えられます。
2. 外部共有を設定したSharePointサイトにデータソースを配置すること
SharePointサイトを外部共有可に設定し、そこに外部利用したい人のメールアドレスを設定します。
その上でSharePointリストなどデータソースを配置することで、アプリからの利用が可能になります。
[M365管理センター]-[SharePoint管理センター]-[アクティブなサイト]-[任意のサイト]-[設定]-[ファイルの外部共有]から変更できます。セキュリティのことを考えると[新規および既存のゲスト]にしておくといいでしょう。
外部ユーザーがアクセスのたびに認証が必要となりますし、ドメインでアクセス制限ができたり、アクセス可能日数を30日〜730日の間で設定することも可能です。
3. 作ったアプリの共有先に外部ユーザーを追加する
共有したいアプリの共有先に、2で追加した外部ユーザーのメールアドレスを設定します。
2で外部メンバーを追加していないとアプリの共有先候補に一覧が表示されませんので注意しましょう。
あとはアプリのリンクは外部ユーザーに連絡すれば、そのURLからアクセスできるようになります。
Power Apps外部共有のデメリット
苦労して Power Apps の外部利用が可能になっても、デメリットや使い勝手の悪い点があります。
コネクタの利用はかなり制限される
コネクタとは、例えばPower Apps内で使うTeamsコネクタ、Outlookコネクタ、OneDriveコネクタなどのこと。
これらはいわゆる標準コネクタと呼ばれるものですが、コネクタごとに外部共有の設定が必要で、管理が相当煩雑になります。
そのため、外部利用したいアプリはコネクタを使わないシンプルな構造にすることを求められます。
認証が面倒くさい
サイトの外部共有設定で[新規および既存のゲスト]を選択すると、外部ユーザーがアプリにアクセスするたびに認証を求められます。
月1回アクセスする程度ならまだ許容できますが、頻繁にアクセスするとユーザビリティが低下します。
[すべてのユーザ]をアクセス可にすれば認証問題は無くなりますが、セキュリティ性が大幅に低下しますので、推奨されません。データは誰でも編集可能になってしまう
SharePointサイトにデータソースを保存する以上、サイト内部のすべてのアイテムに対してメンバーは編集権限を持ちます。
ここでの説明の通り、外部ユーザーをサイトに追加した段階でサイトアドレスが通知されますので、データの保存場所は相手に筒抜けです。
そのため、ユーザーによって改変される恐れがあることを許容した上でアプリを設計する必要があるのです。
情報管理レベルに応じて、例えば自社とA社だけが使う外部サイト、自社とB社、C社、D社が使う外部サイトのように分けて管理する必要もありますね。
【情報収集に最適】Forms を活用した外部との連携
凝ったアプリが必要なければ、わざわざPower Appsを使わず、Formsで事足りるかもしれません。
Formsはアンケートをお手軽に作れるツールですが、[すべてのユーザーが回答可能]にすることで、社外から簡単に情報収集が可能です。
Formsの回答をトリガーとしてPower Automateと連携させれば、Dataverseやリストへの格納も可能ですね。
まとめ
- Power Appsを社外の人が使うためには、[必要なライセンス]・[サイト(リスト)のアクセス権を付与する]・[アプリを共有する]が必要。
- 社内で使うような自由さはなく、外部ユーザーが手間に感じる恐れあり
- Formsで事足りるならFormsのほうが簡単
Power Appsは基本的に社内ユースが前提のツールですが、上記のことを踏まえれば外部共有が可能になります。