私が実際に実施してきた、Power Apps / Power Automate の初心者向けおすすめ勉強手順を紹介します。
1. まずハンズオン(動画教材)
初心者はハンズオンからスタートしましょう。
ハンズオンとは、オンラインで動画を視聴し、手順通りに実際に手を動かしてアプリを作る流れのことを指します。
代表的なものは "Udemy(ユーデミー)"でしょう。
初心者向けのPower Platform学習コースがたくさんあるので、一通り受講してみることです。
本当に基礎の基礎から丁寧に教えてくれるので、動画の通りに作るだけで流れが理解できました。
勤務開始前の通知アプリや注文系のアプリなど、コースの中でイチからアプリを作るので、達成感も感じられます。
個人的におすすめだったのはこの2つのコース。
『Microsoft Power Apps - 入門講座』
『【2023年版】Microsoft Power Apps 基礎マスターコース』
説明が丁寧でわかりやすく、非エンジニアの私でもすんなり理解できたのが印象的でした。
当時、Power Appsの知識が皆無だった私も、きちんとアプリが出来上がりました。
Udemyで学習を進めるにあたって気をつけるポイントはこちら。
画面構成が異なることがある
Power AppsやPower Automateの設計画面は日々アップデートされるため、動画で紹介している画面構成は古く、最新版と異なることがあります。
それでもどこに何の機能があるか自分で探し出し、自己解決する必要があります。
アレンジするにはさらなる勉強が必要
Udemyで作るアプリが自分の業務に完全にマッチすることはまずなく、多少なりともアレンジを加えたくなります。
その場合、そこまで詳細にコースでは紹介されていないため、別の手段で勉強するしかありません。
2. アプリを作る
動画でアプリ作成の流れを一通り理解したら、さっそく手を動かしてアプリ作成に移りましょう。
ローコードを含め、プログラミングを勉強するときは、実践に勝る学習方法はないと思っています。
✕ 知識を身につけてから作る
◯ まず作り、作りながら知識を身につける
この流れが正解です。
アプリの制作手順をノートにまとめるなど、それも不要です。
わからないことがあれば、その場でネット検索すればいいからです。
Power Apps を作るには主に2通りの手順があり、『1. ExcelやSharePointリストからアプリを作る』であれば、本当に数クリックでアプリが自動生成されます。
出来上がるアプリは、3画面構成です。
- データの一覧表示画面
- 詳細画面
- 新規入力画面
正直このままでは物足りなさがありますので、自分好みにレイアウトや表示内容を変更する必要があるでしょう。
一方、『空のアプリ』は全くの白紙からアプリを作ります。
パーツ配置や構成の自由度が高い反面、初心者にはハードルが高いです。
まずは自動生成のアプリを作り、Power Fx の仕組みや挙動を確認してみるといいですね。
アプリ制作にあたり、個人的に重要だと感じるポイントをまとめます。
日常のちょっとした手間を削減できないか考える
Excelの日報、紙資料の提出、手間のかかる承認作業。
面倒くさく感じているちょっとした作業をアプリのネタにするといいでしょう。
業務に直結するものはいきなり作らなくていい
市民開発と聞くと、誰しも仕事の効率アップとかDXを目的としてしまいがちです。
でも最初は仕事を忘れ、業務改善と無関係のアプリでも良しとしましょう。
なぜなら、自分自身がPower Platformで具体的にどんなツールが作れるかを理解できていないから。
例えば、今日の天気を入力して保存するだけのアプリとか、ボタンを押したら0〜100の数字がランダムに表示されるアプリとか、なんでもいいので形にしてみることです。
その中でPower AppsやPower Automateの機能を習得し、テクニックが身につき、応用を効かせられるようになっていきます。
目標を最初から仕事と結びつけると、度重なるエラーにやられてしまい、途中で挫折します。
そうなる前に、簡単でもいいのでアプリをたくさん作っておくことで、試行錯誤する知識と経験を身につけることができます。
Excelは早々に卒業する
Power AppsのデータベースにExcelを使うのはやめておきましょう。
データが多くなると、アプリ内で限られた数の情報しか閲覧できなくなったり(委任問題)、2人以上が同時にアプリを使うと、片方のデータが正しく保存されない(排他制御)など、データベースとしては使い物にならないのです。
Excelデータベースも多少改善されつつあるようですが、Listsが使えるのにあえてExcelを使う理由は正直見当たりません。
作成の基本はLists、慣れてきたらDataverseも視野に入れるといいですね。
要件定義やデータベース設計も最初は無視
学習の初期では、アプリの要件定義やデータベース設計は無視して構いません。
そんなことより、おもしろそうとか便利そうとか、自分の気持ちに素直になり、下手でもいいのでそれらを形にすることを意識しましょう。
アプリを使う人や関係部署が増えてくると、要件定義・データベース設計は避けては通れないようになりますが、それまでは気にする必要はありません。
そもそも、アプリにどんな機能を持たせるかとか、どんなデータテーブルと列を作るかなんてことは、ある程度アプリを作った経験がないとわかりっこないのです。
アプリを作りながら「あぁ、あの機能もつけたいな」「この列がやっぱり必要で・・・あの列は削除して」という、まさに行ったり来たりを経験する中でしか磨かれないと思います。
たくさんのアプリ開発事例を見る
他の人がどんなアプリを作っているか知ることはとても大切です。
新しい機能を知れたりアイディアにつながったり、自分に無い情報を周りから得ることは重要です。
気軽に相談できる間柄であれば、ソースを開示してくれるかもしれませんね。
人が開発する様子を見て学ぶ
機会があれば他人が開発する様子を見せてもらうといいでしょう。
関数の使い方や書き方を勉強できるだけでなく、どういう順番で開発をすすめるのか、ショートカットキーは何があるのかなど、新しい気付きと発見が必ずあります。
私もある程度開発経験を積みましたが、YouTubeで人が開発している様子を見ると今でも新しい発見がたくさんあります。
2-1. 情報の取り方
自分であらゆる情報を調べて試行錯誤することが開発上達への道です。
どういう情報を取るべきか、紹介します。
ChatGPTに聞く
Power Fxでわからないことがあれば、ChatGPTに質問してみましょう。
まるで市民開発のプロがつきっきりで面倒を見てくれるかのごとく、あらゆる質問に回答してくれます。
困り事があったら、まずChatGPTを使ってみることをおすすめします。
ただし、ChatGPTは万能ではなく、あたかも正解かのような口ぶりで平気で間違ったことを示してきます。
提示された式をそのまま使っても動かないことはしょっちゅうなので、自力で解析して修正したり、間違っていることをChatGPTに伝えて直してもらう必要があります。
開発において上手にAIに質問するテクニックを紹介していますので、興味があればこちらもどうぞ。
YouTubeを使う
YouTubeにもPower Platformの有益な情報が上がっていますので、積極的に調べてみましょう。
英語で発信されている海外YouTuberの情報は豊富で高レベルなものが多くあります。
英語に抵抗感の無い方はぜひ英語コンテンツの視聴を強くおすすめします。
ネット検索する
ネットの情報も貴重な学習資料です。
エラーをそのまま検索するのは常套手段ですが、作りたい機能や調べたい関数で検索して答えを見つけることも有効です。
動画と違ってコードをコピペできるのがネット検索の利点ですが、データソース名や変数をそのまま貼り付けてもあなたの環境では動きません。
どの箇所をどう修正するべきか見極める最低限の知識が必要です。
公式コミュニティを検索する
Power Apps公式フォーラム、Power Automate公式フォーラムの中身を検索し、欲しい情報を探します。
情報はすべて英語ですが、非常に有益な情報の宝庫です。
日本語フォーラムも存在しますが、情報量が圧倒的に少ないため、英語版がおすすめです。
ChatGPTなどにコピペすれば英語コンテンツも怖くないですね。
3. 人に使ってもらう
アプリは自分一人で使うより、他人に使ってもらったほうが勉強になることが多いです。
自分なりによくできたアプリだと思っていても、他人の目で見たら改善点が見つかることはよくあります。
式が抜けていて挙動がおかしかったり、このボタンはここにあったほうが使いやすいとか、後からどんどん見つかってくることでしょう。
アプリの中にお問い合わせフォームを設けてフィードバックをもらったり、Teamsチャットで気軽に質問を受けられるようにしておくといいですね。
4. 質問できるコミュニティに参加する
市民開発で行き詰まったとき、質問できるコミュニティに参加するといいでしょう。
社内でコミュニティがあるかもしれませんし、無いなら自分で人を集めて作ってしまいましょう。
同じ志を持った人同士の集まりは、いい刺激になるはずです。
わからないことがあれば先人に聞くのはアプリ制作において非常に大切ですが、なんでもかんでも聞いてしまうのはちょっと考えもの。
トライアンドエラーで苦労して自力で解決した経験は、後々に大きな財産になります。
自分で考えるクセも必要ですので、コミュニティに頼りっぱなしというのは避けたいですね。
5. 継続的に学習を続ける
毎日少しでもいいのでアプリ制作を継続しましょう。
時間がたつと、せっかく学習したことが抜けてしまいます。
また、Power Platformは頻繁にアップデートされ、新しい関数や機能が追加されます。
XやYouTubeなどで最新情報を積極的に取りに行くことが大事です。
まとめ
- 動画で概要をつかむ
- さっそくアプリをつくる
- 人に使ってもらう
- コミュニティを探す
- 学習を続ける
この流れです。
先に知識を蓄えすぎるのは逆効果ですので、わからないなりにも手を動かして作ることをおすすめします。
作っていく中でしかわからないことがたくさんあるのです。